オーブリー・ビアズリー Aubrey Beardsley
オーブリー・ビアズリー(1872-1898)はイギリスのイラストレーター。その卓越したセンスにより、世紀末芸術の代名詞と言っても過言ではない画家でしょう。代表作はやはりワイルドの『サロメ』の挿絵でしょうか。
ホイッスラーやモリスといったおじさんに嫌われつつ、ラッカムやニールセンなどのフォロワーも産みました。
Front Cover for The Yellow Book Vol. V - Aubrey Beardsley - WikiArt.org
イエロー・ブックは当時の尖り気味な文芸誌。初期はビアズリーがアートワーク担当でした。
頭にぶどうを載っけまくった牧神が本を読んでいます。毛がモワモワしててかわいい。
Satyr by Aubrey Vincent Beardsley - Artvee
ビアズリーはチマチマ描いた絵とざっくり描いた絵の差が激しい画家ですが、これはかなりざっくりですね。「髪の毛盗み」を描いた人とは思えないざっくりぶりです。
しかし枝の曲線はあまりにも心地よいアールヌーヴォー式。これだから天才は……
The Dancing Faun – Old Book Illustrations
短編小説"The Dancing Faun"のためのイラストレーション。この片足立てポーズがいかがわしいやつを彷彿とさせるとかしないとか。いかがわしいやつを予感させるのもビアズリーは上手いですね。まあのちに『女の平和』という予感どころじゃないいかがわしい絵を描いたりもしますが。
ついでに爪先のリボンがおしゃれ。
以下にご紹介しますはいずれも"Grotesques by Aubrey Beardsley"という本からの抜粋で、メトロポリタン美術館では"After Aubrey Beardsley"とクレジットされ、しかしArtveeでは"Aubrey Beardsley"とクレジットされており、結局ビアズリーが描いたのか描いてないのかよくわからない絵です。一応この記事でご紹介いたします。
ていうかメトロポリタン美術館のページではダウンロードできなくなってる……前はできたと思うんだが……そしてArtveeでは変わらずダウンロードできるのもどういうことなんだろう……
怒られたら削除します。
Grotesques by Aubrey Beardsley. Portrait Frontispiece by Aubrey Vincent Beardsley - Artvee
『アーサー王の死』をちょっと彷彿とさせる入り組んだ木の装飾とからみつくサテュロスたち。全員女性でしょうか。笛吹いてるのかわいいですね。
Grotesques by Aubrey Beardsley 6 by Aubrey Vincent Beardsley - Artvee
たそがれる牧神。牧神の後ろ姿というものはいいものです。
Grotesques by Aubrey Beardsley 7 by Aubrey Vincent Beardsley - Artvee
しかつめらしい顔の牧神。手まで毛むくじゃらです。左上にビアズリーのエロスマーク(2本の棒とその間の1本の棒と滴る液体)があるので、これがあるならビアズリー本人の筆かなあと私は思ったんですけどね……